医療保険での請求を行う場合、利用者の保険証や限度額適用・標準負担額認定証、公費受給者証等の情報を元に『特記』と『備考欄』への入力が必要になります。
また、1か月あたりの医療費が高額になる場合は限度額適用・標準負担額認定証、公費受給者証等の区分に応じて高額療養費の設定も必要となります。
設定方法について詳しくは以下の記事を参照ください。

1.モバカルナースから『特記』『備考欄』『高額療養費』の設定を行う方法

1)『特記』『備考欄』『高額療養費』を設定する際の共通操作

『特記』『備考』『高額療養費』の設定を行う場合は、対象の利用者を呼び出し『利用者』→『保険情報』→『療養費明細書情報』を選択します。

明細書情報を新規に登録をしたい場合は『新規登録』、既に登録済みの明細書情報の編集をしたい場合は『編集』を押します。

26 区ア~42 区キの特記を入力します。新規登録の場合は他の項目も入力を行ってください。
『区分オ』の場合は低所得の設定をします。入力後に『登録』を押すと、入力内容が登録されます。

 

※給管帳の高額療養費の自動計算が実装されたため、ナースの保険情報→高額療養費欄への入力は非対応となりました。(「区分エ」「区分オ」で既に入力されている場合、削除する必要はありません)


所得区分等に応じた高額療養費が自動計算され、『訪問看護療養費明細書』の負担金額欄に負担金額が記載されます。

地方公費(独自公費)、再掲が必要なケース、公費 3併

上記パターンには対応しておりません。
自動計算とならないため、給管帳で対応されるまでは出力した訪問看護療養費明細書の負担金額欄は手書き対応が必要となります。

 

備考欄については、低所得の設定をしておくことにより、70歳以上で特記『30区オ』に該当する利用者に現物給付を行った場合(自己負担額が上限に達した場合)、『訪問看護療養費明細書』の負担金額欄の負担額と、備考欄に「低所得Ⅰ」もしくは「低所得Ⅱ」が自動記載されます。

2)実績を確定する。

モバカルナースから入力した療養費明細書情報の内容は、そのままでは訪問看護療養費明細書には反映されません。訪問看護療養費明細書を印刷する前にモバカルナース又は給管帳から実績確定を行ってください。
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モバカルナースからの実績確定

2.利用者の保険証等の情報に応じた、特記・備考欄・高額療養費への設定内容

1)70歳以上の利用者で医療保険単独もしくは公費難病医療等(51・54)を併用する場合

利用者から提示を受けた限度額適用認定証(限度額適用・標準負担額減額認定)や公費(51・54)の医療証に記載の区分に応じて、下記の通り特記・備考・高額療養費の設定を行ってください。

  利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳への設定が必要な情報  

特記の区分に応じて給管帳クラウドで行われる計算

  適用区分
公費51・54の区分

負担割合

特記 低所得欄
70歳以上
(75歳以上含む)
現役並みⅢ 3割 26区ア   252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
<多数該当:140,100円>
現役並みⅡ 27区イ   167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
<多数該当:93,000円>
現役並みⅠ 28区ウ   80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
<多数該当:44,400円>
70歳以上 一般 2割 29区エ   18,000円
区分Ⅱ 30区オ 低所得Ⅱ 8,000円
区分Ⅰ 1 低所得Ⅰ 8,000円

75歳以上

一般 2割 41区カ  

総医療費
30,000円~150,000円
(1)18,000円
(2)6,000+(総医療費- 30,000) × 10%
いずれか低い方を適用

総医療費150,000円以上
18,000円

1割 42区キ   18,000円
区分Ⅱ 1割 30区オ 低所得Ⅱ 8,000円
区分Ⅰ 1 低所得Ⅰ 8,000円

 

2)70歳以上の利用者で生活保護・中国残留(12・25)を併用する場合

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳への設定が必要な情報 給管帳クラウドで行われる計算
(自己負担限度額)
生活保護
中国残留
公費12又は25 8,000円

 

3)70歳未満の利用者で医療保険単独もしくは公費(51・52・54)を併用する場合

利用者から提示を受けた限度額適用認定証(限度額適用・標準負担額減額認定)や公費(51・52・54)の医療証に記載の区分に応じて、下記の通り特記・備考・高額療養費の設定を行ってください。

利用者の保険証等の情報

モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
特記の区分に応じて給管帳クラウドで行われる計算
限度額適用認定証
区分
公費
(51・52・54)
の区分

特記

26区ア 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
<多数該当:140,100円>
27区イ 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
<多数該当:93,000円>
28区ウ 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
<多数該当:44,400円>
29区エ

57,600円
<多数該当:44,400円>

30区オ 35,400円
<多数該当:24,600円>

<例>限度額額適用認定証の区分エの場合
→29区エを選択

 

4)70歳未満の利用者で生活保護・中国残留(12・25)を併用する場合

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳への設定が必要な情報 給管帳クラウドで行われる計算
(自己負担限度額)
生活保護
中国残留
公費12又は25 35,400円

 

5)70歳以上の利用者で51・54・12・25以外公費と社会保険を併用する場合の高額療養費の設定

70歳以上の利用者で特定疾患(51)難病法(54)生活保護(12)中国残留(25)以外の公費と社会保険を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
限度額適用認定証
又は
公費受給者証の
区分
特記 高額療養費
26区ア 18,000円
Ⅴ又は現役並みⅡ 27区イ
Ⅳ又は現役並み1 28区ウ
29区エ
30区オ

※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳でおこなわれた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。

 

6)70歳以上の利用者で51・54・12・25以外の「国」公費と国民健康保険・後期高齢を併用する場合の高額療養費の設定

70歳以上の利用者で特定疾患(51)難病法(54)生活保護(12)中国残留(25)以外の「国」公費と国民健康保険・後期高齢を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
限度額適用認定証
又は
公費受給者証の
区分
特記 高額療養費
26区ア 18,000円
Ⅴ又は現役並みⅡ 27区イ
Ⅳ又は現役並み1 28区ウ
29区エ
30区オ

※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳でおこなわれた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。

 

7)70歳以上の利用者で「地方」公費と国民健康保険・後期高齢を併用する場合の高額療養費の設定

70歳以上の利用者で「地方」公費と国民健康保険・後期高齢を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

  利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳への設定が必要な情報  

特記の区分に応じて給管帳クラウドで行われる計算

  適用区分

負担割合

特記 低所得欄
70歳以上
(75歳以上含む)
現役並みⅢ 3割 26区ア   252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
<多数該当:140,100円>
現役並みⅡ 27区イ   167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
<多数該当:93,000円>
現役並みⅠ 28区ウ   80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
<多数該当:44,400円>
70歳以上 一般 2割 29区エ   18,000円
区分Ⅱ 30区オ 低所得Ⅱ 8,000円
区分Ⅰ 低所得Ⅰ 8,000円

※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳でおこなわれた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。

 

8)70歳未満の利用者で51・52・54・12・25以外の「国」公費と医療保険を併用する場合の高額療養費の設定

70歳未満の利用者で特定疾患(51)・小児慢性特定疾患治療法(52)・難病法(54)生活保護(12)中国残留(25)以外の「国」公費と医療保険を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

※現在給管帳で、療養費明細情報(R6.6~)>レセプト共通編集>「特記」の登録をしていなくても高額療養費が自動計算されてしまう不具合が発生しております。修正されるまでは手作業での削除対応をお願いいたします。

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
限度額適用認定証
又は
公費受給者証の
区分
特記 高額療養費
26区ア 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
27区イ
28区ウ
29区エ
30区オ
※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳で行われた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。
 

9)70歳未満の利用者で「地方」公費と社会保険を併用する場合の高額療養費の設定

70歳未満の利用者で「地方」公費と社会保険を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

利用者の保険証等の情報 モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
限度額適用認定証
又は
公費受給者証の
区分
特記 高額療養費
26区ア 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
27区イ
28区ウ
29区エ
30区オ
※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳で行われた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。
 

10)70歳未満の利用者で「地方」公費と国民健康保険を併用する場合の高額療養費の設定

70歳未満の利用者で「地方」公費と国民健康保険を併用する場合、下記の通り特記の設定を行ってください。

利用者の保険証等の情報

モバカルナース又は給管帳へ設定が必要な情報
特記の区分に応じて給管帳クラウドで行われる計算
限度額適用認定証
区分
公費
(51・52・54)
の区分

特記

26区ア 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
<多数該当:140,100円>
27区イ 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
<多数該当:93,000円>
28区ウ 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
<多数該当:44,400円>
29区エ

57,600円
<多数該当:44,400円>

30区オ 35,400円
<多数該当:24,600円>

※高額療養費の自動計算は2024年4月23日に給管帳で行われた改定対応のメンテナンスにて対応済みです。

 

11)その他の特記について

26区ア~30区オ以外の特記の一覧は下記の通りです。

特記 内容(厚労省の記載要領より抜粋) 解説
01公 医療保険単独の者及び後期高齢者医療単独の者に係る明細書で、「公費負担医療が行われる療養に係る高額療養費の支給について」(昭和48年10月30日付保発第42号、庁保発第26号)による公費負担医療が行われる療養に要する費用の額が、健康保険法施行令(大正15年勅令第243号)第42条及び高齢者の医療の確保に関する法律施行令(昭和57年政令第293号)第15条に規定する額を超える場合 法別区分の無い以下の公費の適用となる利用者で高額療養費の上限額に達した場合に設定。(レセプトは医保又は後期高齢単独になります)

1.「沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和47年政令第108号)第3条又は第4条の医療費の支給」
2.「身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第18条第2項の障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第5条第5項の厚生労働省令で定める施設又は指定医療機関における医療の給付」
3.「昭和59年4月10日衛発第266号厚生省公衆衛生局長通知「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給」

02長

以下のいずれかに該当する場合
① 高額長期疾病に係る特定疾病療養受療証を提出又は特定疾病療養受療証情報を提供した患者の負担額が、健康保険法施行令第 42 条第9項第1号に規定する金額を超えた場合(ただし、患者が特定疾病療養受療証の提出又は特定疾病
療養受療証情報の提供を行った際に、既に同号に規定する金額を超えて受領している場合であって、現物給付化することが困難な場合を除く。)
② 後期高齢者医療特定疾病療養受療証を提示又は後期高齢者医療特定疾病療養受療証情報を提供した患者の負担額が、高齢者医療確保法施行令第 15 条第6項に規定する金額を超えた場合(ただし、患者が後期高齢者医療特定疾病療
養受療証の提示又は後期高齢者医療特定疾病療養受療証情報の提供を行った際に、既に同項に規定する金額を超えて受領している場合であって、現物給付化することが困難な場合を除く。)
③ 後期高齢者医療特定疾病療養受療証を提示又は後期高齢者医療特定疾病療養受療証情報を提供した患者であって、特記事項「41」に該当する患者の入院外分の負担額が、高齢者医療確保法施行令第 15 条第6項に規定する金額以下である場合

・上限額が10,000円の「特定疾病療養受療証」又は「後期高齢者医療特定疾病療養受療証」の提示を受けて、自己負担が上限額に達した場合

 

・後期高齢者で区分『41区カ』の場合

04後保 公費負担医療単独及び公費負担医療併用の場合、請求金額を訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法によった場合 75歳以上で生活保護の利用者
10第三 患者の疾病又は負傷が、第三者の不法行為(交通事故等)によって生じたと認められる場合 左記のとおりです
16長2 高額長期疾病に係る特定疾病療養受療証を提出した患者の負担額が、健康保険法施行令第42条第9項第2号に規定する金額を超えた場合(ただし、患者が特定疾病療養受療証の提出を行った際に、既に同号に規定する金額を超えて受領している場合であって、現物給付化することが困難な場合を除く。) 上限額が20,000円の「特定疾病療養受療証」又は「後期高齢者医療特定疾病療養受療証」の提示を受けて、自己負担が上限額に達した場合
17上位 70歳以上で「標準報酬月額28万円以上(国民健康保険及び後期高齢者医療にあっては課税所得145万円以上)の世帯」の適用区分(Ⅳ)の記載のある難病の患者に対する医療等に関する法律に基づく医療受給者証(以下「特定医療費受給者証」という。)又は特定疾患医療受給者証が提示された場合
(~2018.7まで)
現状は使用しません
18一般 70歳以上で「標準報酬月額26万円以下(国民健康保険及び後期高齢者医療にあっては課税所得145万円未満)の世帯」の適用区分(Ⅲ)の記載のある特定医療費受給者証又は特定疾患医療受給者証が提示された場合
(~2018.7まで)
現状は使用しません
19低所 70歳以上で「低所得者の世帯」の適用区分(Ⅰ又はⅡ)の記載のある特定医療費受給者証又は特定疾患医療受給者証が提示された場合
(~2018.7まで)
現状は使用しません
20二割 平成20年2月21日保発第0221003号の別紙「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置実施要綱」の第2の4の特例措置対象被保険者等が、特例措置にかかわらず、自らが受けた療養に係る2(4)に規定する一部負担金等の一部に相当する額を自ら支払った場合又は第三者行為により特例措置の対象とならない場合 現状は使用しません
21高半 月の初日以外の日に75歳に到達し後期高齢者医療の被保険者となったことにより被用者保険の被保険者でなくなった者の被扶養者であった者又は月の初日以外の日に75歳に到達し後期高齢者医療の被保険者となったことにより国民健康保険組合の組合員でなくなった者の世帯に属する組合員以外の被保険者であった者(いずれも市町村国保に加入することになる。)であって、当該後期高齢者医療の被保険者が75歳に到達した月に訪問看護を受けた者の場合 月の途中で75歳の誕生日を迎えて後期高齢者医療の適用になり、それまでの保険と後期高齢者医療の両方が適用になる場合に選択。
<この記事の更新履歴>
2021-09-02 マニュアルを公開

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